胃カメラ検査

機能性ディスペプシアとは?胃カメラで異常なしと言われた胃痛の原因

胃が痛い、食後の胃もたれがひどい、少し食べるだけですぐ満腹になる。そんな辛い症状があるのに胃カメラを受けたら「特に異常ありません」と言われた経験はありませんか?あなたの症状は決して気のせいではありません。

機能性ディスペプシア(FD)とは何か

FDとは胃カメラや血液検査で明らかな器質的異常(がんや潰瘍など目に見える病変)がないにもかかわらず、みぞおちの痛み・食後の胃もたれ・早期満腹感・みぞおちの灼熱感が3か月以上続く疾患です。かつて「神経性胃炎」と曖昧に呼ばれていましたが、現在は国際的な診断基準(ローマIV基準)に基づく独立した疾患として認められています。世界人口の10〜20%がFDを経験し、5〜10人に1人が該当するありふれた病気です。

なぜ「異常なし」なのに痛いのか

胃の運動機能異常

食べ物を送る蠕動が遅れる胃排出遅延や、食事で胃が広がる適応性弛緩の障害が胃もたれや早期満腹感を引き起こします。

内臓知覚過敏

通常なら痛みと感じない胃酸刺激や胃の動きを「辛い」と過敏にキャッチしてしまう状態です。

脳腸相関の問題

脳と腸は自律神経やホルモンで常に情報をやり取りしており、ストレス・不安・睡眠不足がこのネットワーク経由で胃の機能に直接影響します。ピロリ菌感染や感染性胃腸炎をきっかけに発症するケースも報告されています。

治療法は複数あります

薬物療法

酸分泌抑制薬(PPIやP-CAB)、消化管運動改善薬(アコチアミドなど)が有効です。日本では六君子湯など漢方薬にもFD改善エビデンスが蓄積されており、これらを組み合わせることで多くの方が改善します。

生活習慣の見直し

規則正しい食事、よく噛んで食べる、暴飲暴食を避ける、十分な睡眠、適度な運動、ストレス発散が効果的です。

ドクターショッピングに陥らないで

FDの方が陥りやすいのが「ドクターショッピング」。A病院で異常なし、B病院でも異常なし。「どこかに原因を見つけてくれる先生がいるはず」と次々と転院してしまうパターンです。大切なのは信頼できる主治医のもとで腰を据えて治療することです。FDの早期診断と一貫した治療方針の重要性は国際ガイドラインでも強調されています。

「異常なし」=「治療法なし」ではない

胃カメラで「異常なし」でも治療法がないわけでは決してありません。FDは正しく診断され適切な治療を続ければ症状をコントロールし日常を取り戻せる病気です。「異常なし」と言われるとがっかりする方が多いのですが、実はこれは大きな朗報です。胃がんや潰瘍といった重大な病気がないことが確認できたのですから、まずはそこに安心してください。

FDと上手に付き合うコツ

症状トリガーを把握する

「ストレスが溜まると悪化する」「睡眠不足の翌日に症状が出る」「暴飲暴食の後に辛くなる」など、パターンが見えてくると対処がしやすくなります。症状と生活の記録をつけてみることをおすすめします。

諦めないことが大切

最初に試した薬が効かなくても、別の薬や別の組み合わせで改善することはよくあります。漢方薬が劇的に効く方もいれば、生活習慣の見直しだけで大幅に良くなる方もいます。人それぞれに合った「答え」があるのがFDという病気の特徴です。

当院ではFDの患者さまに対して、西洋医学的なアプローチと漢方を組み合わせた多角的な治療を行っています。「どこに行っても治らなかった」という方にこそ、一度ご相談いただきたいと思います。