大腸カメラ検査

便潜血検査で「陽性」!痔だと思って放置してはいけない理由

健康診断の結果を見て「便潜血陽性」という文字に驚いた経験はありませんか。「え、便に血が混じっていたの?」と一瞬ドキッとする一方で、「きっと痔だろう」「お尻を拭いたときに少し切れただけかも」と、つい自分を安心させてしまう方がとても多いのです。しかし、その「きっと痔だろう」という自己判断が、大切な病気を見逃す原因になってしまうことがあるのです。便潜血検査は、大腸がんを早期に発見するために設計された非常に有効なスクリーニング検査です。陽性という結果は、あなたの体が発している大切なサインかもしれません。

便潜血陽性の本当の意味をデータで知る

便潜血検査は、便の中にごくわずかな血液が混じっていないかを調べる検査です。目に見えないほどの微量の出血でも検出できるため、自覚症状がない段階の大腸がんや大腸ポリープを発見する手がかりになります。検査自体はとても簡単で、痛みもなく、2日間の便を専用の容器で採取するだけです。統計的には、便潜血陽性の方の約3〜5%に大腸がんが発見され、30〜40%に大腸ポリープが見つかるとされています。陽性が出た方の3人に1人以上からポリープが見つかるのです。Mandel JSらがNew England Journal of Medicineに発表した大規模臨床研究では、便潜血検査による定期的なスクリーニングを行ったグループでは、大腸がんによる死亡率が33%も減少したと報告されています(Mandel JS, NEJM, 1993)。

「きっと痔だろう」と放置することの危険性

確かに、便潜血陽性の原因として最も頻度が高いのは痔です。日本人の3人に1人は痔を持っていると言われています。しかし、「痔と大腸がんは同時に存在しうる」という大切な事実があります。痔がある方でも、大腸の別の場所にがんやポリープが隠れていることは珍しくありません。痔があるからといって便潜血陽性の原因が必ず痔であるとは限らないのです。大腸がんは早期に発見できれば治癒率が非常に高い病気です。早期ステージで発見された場合の5年生存率は90%以上です。Gingold-Belferらの研究によれば、便潜血陽性後に精密検査(大腸カメラ)を実際に受けた方の割合は80.4%だったと報告されています(Gingold-Belfer R, United European Gastroenterology Journal, 2019)。約2割の方が陽性にもかかわらず精密検査を受けていないのです。

大腸カメラで「安心」を手に入れましょう

便潜血陽性が出たら、次にすべきことは大腸カメラ検査を受けることです。大腸カメラは大腸の内部を直接観察できる唯一の検査です。もしポリープが見つかればその場で切除することも可能であり、一度の検査で発見から対処まで完結できるのが大きな利点です。当院では鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を行っています。多くの方が「思っていたより全然楽だった」「もっと早く受ければよかった」と感想を寄せてくださっています。検査の結果、異常が見つからなければ、この上ない安心感を得ることができます。

検査を受けるタイミングと心構え

便潜血陽性の結果を受け取ったら、できるだけ早めに大腸カメラ検査の予約をされることをおすすめします。「もう少し落ち着いてから」「来月にしよう」と先延ばしにしてしまうと、結局そのまま何か月も、あるいは何年も放置してしまうケースが非常に多いのです。思い立ったときが行動に移すベストなタイミングです。当院では、お忙しい方でも受けやすいよう、土曜日の検査枠もご用意しています。また、胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けていただくことも可能です。「便潜血陽性」は決して珍しいことではありません。毎年多くの方が同じ結果を受け取り、不安を抱えています。だからこそ、一人で悩まず、まずはお気軽にご相談いただければと思います。